5。申告が必要かどうか
税額計算という難しい話になりましたが、結局のところ自分が相続税の申告が必要かどう判定したらいいのでしょうか?
まず、相続財産とされるものを何ももらっていないのであれば、相続税を申告する必要はありません。
次に相続財産とされるものをもらっている場合ですが、その場合には遺産の総額が問題になります。自分の取り分ではありません。
相続税の基礎控除額が3000万円+αと聞いたことがあるからといって、
「自分の取り分が1000万円だから3000万円に満たないし税金はかからないだろう」と思ってしまうと後で税務署から連絡があって大変なことになりかねません。
※「相続財産とされるものの総額がいくらになるか、どうすればわかるか?」は別の記事で。
相続財産の総額が税金がかからないラインとなる基礎控除額を越えるかどうかをまず判定するようにしましょう。
基礎控除額は
3000万円+600万円×法律上の相続人の人数
で求めます。
たとえば、子供が二人いる4人家族のお父さんが亡くなった場合には、法律上の相続人は奥さんと子供二人の3人になります。
ですから、この場合、相続税がかからない金額は
3000万円+600万円×3=4800万円
までとなります。
相続財産の総額が4800万円を超える場合には、相続税の申告が必要になります。
ただ、申告をすることで相続税が0円になるケースというのもきっと多いと思います。
納税がなくてもよいというのはいくらか朗報ですが、相続税の申告をしなければならないというのは結構な作業です。このHPがいくらかでも助けになればと思います。
【根拠条文】
(相続税の申告書)
第二十七条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項 (納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(包括受遺者を含む。第五項において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項 の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 相続時精算課税適用者は、第一項の規定により申告書を提出すべき場合のほか、第三十三条の二第一項の規定による還付を受けるため、第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る相続税の課税価格、還付を受ける税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出することができる。
4 前三項の規定により申告書を提出する場合には、当該申告書に被相続人の死亡の時における財産及び債務、当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者がこれらの事由により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他財務省令で定める事項を記載した明細書その他財務省令で定める書類を添付しなければならない。
5 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者又はその者の相続人で第一項、第二項(次条第二項において準用する場合を含む。)又は第三項の規定により申告書を提出すべきもの又は提出することができるものが二人以上ある場合において、当該申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、これらの者は、政令で定めるところにより、当該申告書を共同して提出することができる。
6 第一項から第三項までの規定は、これらの項に規定する申告書の提出期限前に相続税について決定があつた場合には、適用しない。