「ちょっとだけ気になる。。」
という人が割と多いようです。
知り合いに税理士になったとか、税理士だという話をすると時々質問されます。
家族の介護していたりすると、ちょっと聞いてみたいということの一つのようです。
少し話を聞くと、
「それなら相続税かからないですね」
あっさり答えられたりすることがあります。
とはいえ、身近な人であれば気軽に聞いてくださいとも言えるものの、見ず知らずの税理士に対して自分の家族の財産状況を明かして、相続税がかかるのかを聞くというのはちょっとした勇気がいるものです。
さらに、「相談料など取られるのだろうか?」
などと心配になったりします。
そうこう迷った挙句に、実際そうなったときでいいやという結論になる人も少なくないようです。
実際、相続税関係の特集が組まれる雑誌もしばしばコンビニで見かけることがあります。
世間の関心が高いテーマであることは間違いありません。
実際、平成27年度の税制改正が大きな影響を及ぼしています。
相続税の基礎控除額がこれまでは最低でも5000万円でした。
ですから、5000万円ぐらいの財産が残されていても相続税はかからなかったですし、申告も不要でした。
しかし、改正によって相続税の基礎控除額が最低の場合3000万円が基礎控除額となりました。
これまで3000万円程度の遺産であれば相続税なんて一切考えなくてよかったのに、突然、多くの人が相続税について考えなければならなくなったわけです。
この改正の影響で、以前は結構な大金持ちしか関係なかった相続税も、マイホームやマンションを持っているだけで急に考えなければならなくなりました。
なかなかに大変なことです。
冗談で相続税対策のために、「今年中に死ねば相続税はかからないので、早めに死んだらいいですね」と言って笑ったものですが、さすがに実行した人はいません。
こうなると本当に気になるところです。
実際誰が相続税の対象になるのでしょうか?
そもそも相続税はどうやって計算されるのでしょうか?
マイホームには相続税がかからないようになってると聞いたけど、どういうこと?
こういったテーマを扱っていきたいと思います。
そもそも誰にかかるの?
これは、財産をもらった個人にかかる税金です。
——————-図————–
個人 → 個人 【相続税課税】
個人 → 法人 【相続税はかからない】
—————————-
法人には、法人税がかかりますが、相続税は基本的にかかりません。
こういうことを書くと、
「遺言書で●●法人に寄付して、いろいろあーだこーだやって最終的に息子に。。」
と考える人がいます。
考えるだけならまだしも、人にアドバイスする人までいたりします。
ただ、日本の税金はそんなに簡単に回避できるものではありません。
そういうのはダメという条文もきちんと用意されています。
すぐではないまでも、税務署は必ずやってきます。
「こうすれば、大丈夫なんですよ。」という言葉に安易にだまされないようにしましょう。
また、相続税は個人から財産をもらった場合にのみ課税される税金です。
――――――――図―――――――――――
法人→個人 相続時はかからない
―――――――――
理由は明白です。法人は死にません。解散することはあっても死ぬわけではありません。
なので、相続税がかかることはありません。
※法人から財産をもらってかかるのは相続税ではなく所得税になります。
例外的に、
これらは、法人から個人に支払われる財産ですが、相続税法上は
「亡くなった人から遺族に相続があったものとみなす」
となっています。
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「みなす」という表現は税法条文の中にしばしば出てきます。
便利な表現です。
今、説明した保険金や退職金の話は、そうみなされてもそんなに不思議ではないかもしれません。「保険金って実際そうだよな。亡くなった人からもらったものだよな」という感覚があると思います。
ただ、税法条文は必ずしも一般感覚通り書いてあるわけではありません。
「相続税法上、赤は青とみなす」
と書いてあれば、赤いものでも税法上は「青」になります。
「一般的な景色」と「税法から見た景色」は色が全然違ったりします。
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というわけで相続財産をもらった場合には、相続税について考えなければなりません。
また、
という場合もやはり相続税について考えなければならないということになります。
※「香港は相続税ってないけど香港に住む人はどうなの?」というのはまた別の記事で
(相続税の納税義務者)
第一条の三 次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
二 相続又は遺贈により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
イ 日本国籍を有する個人(当該個人又は当該相続若しくは遺贈に係る被相続人(遺贈をした者を含む。以下同じ。)が当該相続又は遺贈に係る相続の開始前五年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがある場合に限る。)
ロ 日本国籍を有しない個人(当該相続又は遺贈に係る被相続人が当該相続又は遺贈に係る相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有していた場合に限る。)
三 相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(前号に掲げる者を除く。)
四 贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を取得した個人(前三号に掲げる者を除く。)