(9)相続人に未成年者がいる場合
こういう時には特別代理人を家庭裁判所に選任してもらって遺産分割協議書を作成します。
急に難しい言葉が並んでしまいました。少し説明を付加します。
夫婦に未成年の子がいる状態でご主人がなくなると、未成年者の相続人がいることになります。
残念ですがしばしば起こることです。
こういう時は、遺産分割協議書を相続人だけで話し合って作成できるのでしょうか?
作成できたとしてもそれは無効になります。
通常、残されたお母さんが親権者な訳ですから、子供の代理として遺産分割協議書を完成させてもなにも問題がないように思えるかもしれません。
胎児も相続人になりますから、胎児で考えてみると実に不思議です。
胎児の生命に関する重要な決定はほとんどお母さんがするわけです。自然の摂理になります。誰も文句は言えません。
でも、こういうときには、法律的に四角四面に考えると次のようなことに気づきます。
・お母さんの取り分が増えると子供の取り分が減る
・子供の取り分が増えるとお母さんの取り分が減る
という事態になっているわけです。
「お母さん本人の利益の追求」と「代理人としての利益の追求」がぶつかっている状態です。利益相反といいます。
「親なので子供の福祉を第一に考えるから全然問題ない」という親心もわからないではありません。
未成年といえども人は人
でも、この場面では一旦親心については横において考える必要があります。
冒頭に書いたように家庭裁判所に特別代理人を選任する申し立てを行うことになります。
※具体的な申立書の記載方法については別の記事で
裁判所が選任しますが、候補者として親族の選任を求めることも可能です。
子供が2人いる場合には、それぞれ別の特別代理人の選任が求められます。つまり2人選任が必要になるということです。
その代理人が署名捺印することで遺産分割協議書は完成することになります。