(8)多数決とかで分けることはできないのか?
答えは簡単です。
できません。
仮に作ってもその遺産分割協議書には効力がありません。銀行に持っていっても相手にしてくれません。
4兄弟の上3人でだいたいの遺産分割案について合意をしていたとしても、最後の一人が合意しなければ遺産分割をすることはできないということです。(これが法律です。)銀行預金についての相続手続きをすることすらできないということです。
ただ、こういう時は少し厄介です。大きな揉め事になる火種を抱えていると言えるでしょう。
民主主義的な感覚があると、4人中3人賛成していれば多数派なんだからだから、「自分たちが正義」で、「反対する弟は分からず屋だ」という感覚が兄弟の中に生まれることがあります。
残念ながらその正義感はあまり有効ではありません。少なくても現在の日本の法律では支持されていません。
一方で、残された1人は自分の意見は一切考慮されてないので納得がいきません。
いかにも話し合いが平行線になりそうな展開です。もめてしまうと大変です。どうにもこうにも話し合いがまとまらないと、今度は家庭裁判所にお世話になることになります。
なるべくこの感覚はもたないようにしたいですが、それがなかなかに難しかったりします。
丸く収めることの重要性
考えてみてください。
4人中3人ならまだしも、10人中9人だったらどうでしょうか?
15人中14人だったらどうでしょうか?
合意しない1人が分からず屋に感じませんか?多数派が正義に感じませんか?
正義を主張して感情的な争いになりますと相続税どころではない大きな負担を各人が負うことになります。こういう時は「正義を振りかざすことなく丸く収める」ことを皆が意識することがとても大切です。
どういうことかと言いますと、
実際、車を運転してみると分かりますが、ちょっとした道路交通法違反は日常茶飯事だったりします。
でも、実際のところそれらの人や車と毎回衝突するような人はいません。なぜなら「ぶつからないように」皆が気をつけているからです。正義をふりかざすより「ぶつからないこと」が価値があることを皆が知っているからです。
相続においても「家族とぶつからないこと」には大きな価値があります。
是非とも全員で合意できるように話し合うことにしましょう。