贈与の効果
「相続時精算課税制度」を使った贈与
や
「亡くなる前3年以内の贈与」
については、相続税の計算上、それらの財産が相続財産として扱われます。
となると、
実際に何かの事情があって贈与しなければならない
時は別としても、
「相続税対策としての贈与は意味ないの?」
という疑問を抱く方も多いかもしれません。
実際のところ、
「相続税を回避しよう」という考え方自体は
税法の中の考え方としてあまり良くないものとなっています。
いわゆる「租税回避」というものです。
「租税回避」は違法な「脱税」ではありません。
ただ、
「『税金から逃げよう』とあれこれやるのは良くないよ」
ということが基本的な精神として大切です。
これがまた微妙な話なので、詳しくは別の機会に書こうと思います。
少し話を戻しますと、亡くなる前数年間の贈与というのは「相続税対策にならない」のでしょうか?
必ずしもそうでもありません。
まず、相続税対策の一番基本が「財産を使う」ことです。
残す財産がなければ相続税は課されません。
社会的に消費しても良いですし、赤十字に寄付しても良いわけです。
そのなかで贈与というものがあります。
相続人に贈与すると相続税の時に、精算されますが、
相続人以外の人に贈与する分には規定上は問題ありません。
孫とか嫁とか
法律上の相続人でなければ、相続の時に相続税の対象にはならないことになっています。
※こう書くと妙に問題ありそうですが、今のところ条文上はそうなっています。ただ、「孫や嫁にあげたと見せかけて実は相続人の息子にあげていた」ということを税務署が言ってくることは十分にあると思います。きちんと実態のともなうものにしましょう。
他にも贈与すると価格が固定されるという効果があります。
ビットコインについて
最近ではビットコインが話題です。
価値が急騰したようです。
ああいうものを価値が低い昨年中に贈与していた場合、
贈与税の計算のときには、価値が低い価格で税金計算されます。
その後価格が高騰しても、相続の時に高い価格で計算し直すということはありません。
現金を贈与すると価格の上下というのはないので、効果はわかりづらいのですが現金以外の贈与の時には価格が何年も一定ということはありません。
何年か後に価格が急騰するような財産を価格が低い今のうちに贈与しておくというのは、通常の贈与税・相続税対策になります。
ただ、理論的にはこうなのですが、
「来年には確実に価格が倍になる」
などというものは普通はありません。
「100%の未来予測」というものが世の中にないからです。
基本的には怪しい投資の話だけです。
それで、相続税法的にこういう話を取り締まるということはないのですが、
逆に相続税の対策を気にしすぎて
そうした怪しい話に騙されるということのないように気をつけましょう。