税務署は相続税情報をどこから得ていてどこまで分かっているの?

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税務署はどこから情報を得ていてどこまで分かっているの?

相続税を申告する際に少し気になるところです。
正直なところ、脱税ということを考えなくても気になるという人が多いと思います。

なにせ相続税で厄介なのが、
「相続税の対象となっている財産が自分の財産ではない」
というところだからです。

正直なところ
「自分の全財産を書き出せ」
と今言われても、漏らさずに書き出せるかというと微妙なところだと思います。

にもかかわらず、相続税の場合には自分の親の財産が課税の対象だったりします。
そんなものが正確に分かるかというと当然難しいです。

一応、頑張る中でふと気になるのがおそらく
「税務署はどのぐらい分かるの?」
というところになるかと思います。

実際のところ、税務署はどの程度情報を得るのでしょうか?

《税務署への通知》

「個人情報保護」という概念も結構ありますから、行政機関の中でも情報収集には法的根拠が必要です。
法的根拠が全くない中で亡くなった人の情報が伝達されることはありません。

まず、相続税法58条の条文によると
①死亡届が提出されると税務署に通知があります。

それで、
「相続がありましたね」
ということは完全に把握されているということになります。
そういう情報を基に相続人と思われる人に相続税の申告書を送付しています。

また
相続税法の59条の条文によると
②生命保険金が支払われると保険会社から税務署に対して通知があります。
退職手当金や信託についても同様です。

亡くなった人や遺族が何もしなくても税務署は知っているというわけです。

そして相続税法の第61条をみると
③亡くなった人の納税地の所轄税務署長は財産を受け取った人の納税地の所轄税務署長に亡くなった人の財産について通知します。

税務署間の協力もあるわけです。

こうして見ると、税務署に何もこちらが言わなくても
かなりの情報について税務署長宛に通知されることがわかります。

【条文】
(市町村長等の通知)
第五十八条 市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を、当該届書を受理した日の属する月の翌月末日までにその事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。
2 前項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号(法定受託事務)に規定する第一号法定受託事務とする。
(調書の提出)
第五十九条 次の各号に掲げる者でこの法律の施行地に営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この項において「営業所等」という。)を有するものは、その月中に支払つた生命保険契約の保険金若しくは損害保険契約の保険金のうち政令で定めるもの又は支給した退職手当金等(第三条第一項第二号に掲げる給与をいう。以下この項において同じ。)について、翌月十五日までに、財務省令で定める様式に従つて作成した当該各号に定める調書を当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。ただし、保険金額又は退職手当金等の金額が財務省令で定める額以下である場合は、この限りでない。
一 保険会社等 支払つた保険金(退職手当金等に該当するものを除く。)に関する受取人別の調書
二 退職手当金等を支給した者 支給した退職手当金等に関する受給者別の調書
2 信託の受託者でこの法律の施行地に当該信託の事務を行う営業所、事務所、住所、居所その他これらに準ずるもの(以下この項において「営業所等」という。)を有するものは、次に掲げる事由が生じた場合には、当該事由が生じた日の属する月の翌月末日までに、財務省令で定める様式に従つて作成した受益者別(受益者としての権利を現に有する者の存しない信託にあつては、委託者別)の調書を当該営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。ただし、信託に関する権利又は信託財産の価額が一定金額以下であることその他の財務省令で定める事由に該当する場合は、この限りでない。
一 信託の効力が生じたこと(当該信託が遺言によりされた場合にあつては、当該信託の引受けがあつたこと。)。
二 第九条の二第一項に規定する受益者等が変更されたこと(同項に規定する受益者等が存するに至つた場合又は存しなくなつた場合を含む。)。
三 信託が終了したこと(信託に関する権利の放棄があつた場合その他政令で定める場合を含む。)。
四 信託に関する権利の内容に変更があつたこと。
3 この法律の施行地に営業所又は事務所を有する法人は、相続税又は贈与税の納税義務者又は納税義務があると認められる者について税務署長の請求があつた場合においては、これらの者の財産又は債務について当該請求に係る調書を作成して提出しなければならない。
4 第一項各号又は第二項に定める調書(以下この条において単に「調書」という。)のうち、当該調書の提出期限の属する年の前々年の一月一日から十二月三十一日までの間に提出すべきであつた当該調書の枚数として財務省令で定めるところにより算出した数が千以上であるものについては、当該調書を提出すべき者は、第一項又は第二項の規定にかかわらず、当該調書に記載すべきものとされるこれらの規定に規定する事項(以下この条において「記載事項」という。)を次に掲げる方法のいずれかによりこれらの規定に規定する所轄税務署長に提供しなければならない。
一 財務省令で定めるところによりあらかじめ税務署長に届け出て行う電子情報処理組織(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項(電子情報処理組織による申請等)に規定する電子情報処理組織をいう。)を使用する方法として財務省令で定める方法
二 当該記載事項を記録した光ディスク、磁気テープその他の財務省令で定める記録用の媒体(以下この条において「光ディスク等」という。)を提出する方法
5 調書を提出すべき者(前項の規定に該当する者を除く。)は、政令で定めるところにより第一項若しくは第二項に規定する所轄税務署長(次項において「所轄税務署長」という。)の承認を受けた場合又はこれらの規定により提出すべき調書の提出期限の属する年以前の各年のいずれかの年において前項の規定に基づき記載事項を記録した光ディスク等を提出した場合には、その者が提出すべき調書の記載事項を記録した光ディスク等の提出をもつて当該調書の提出に代えることができる。
6 調書を提出すべき者が、政令で定めるところにより所轄税務署長の承認を受けた場合には、その者は、第一項又は第二項の規定及び第四項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる方法のいずれかの方法により、当該調書の記載事項を財務省令で定める税務署長に提供することができる。
7 第四項又は前項の規定により行われた記載事項の提供及び第五項の規定により行われた光ディスク等の提出については、第一項又は第二項の規定による調書の提出とみなして、これらの規定及び第七十条の規定並びに国税通則法第七章の二(国税の調査)及び第百二十七条(罰則)の規定を適用する。

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(相続財産等の調査)
第六十一条 相続の開始があつた場合においては、当該相続の開始地の所轄税務署長は、当該相続開始の時における被相続人の財産の価額及び債務の金額並びに当該財産及び債務の帰属の状況等を調査し、これを当該被相続人から相続又は遺贈(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。)により財産を取得した者(当該被相続人に係る相続時精算課税適用者を含む。)の納税地の所轄税務署長に通知しなければならない。

《税務署の調査能力》

上記のような通知が税務署に対してされるわけですが、さらに税務署には調査権限も与えられています。

それが国税通則法の第74条の3に規定されています。

「納税義務者に対して質問検査する権限がある」
ということは分かります。
本人なので当然です。

一方で、税務署は上記で扱った調書を出すべき保険会社や、
亡くなった人との間に債権債務がある者、財産を保管する金融機関に対しても
調査する権限が与えられています。

「銀行や証券会社などの口座について調べられますよ」
ということです。

ネットバンクのイメージを持っている人がほとんどだと思いますから、
「その画面を税務署は見ている」
という印象で良いかと思います。

そのぐらい情報が税務署にはあるということです。

【条文】
(当該職員の相続税等に関する調査等に係る質問検査権)
第七十四条の三 国税庁等の当該職員は、相続税若しくは贈与税に関する調査若しくは相続税若しくは贈与税の徴収又は地価税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査又は徴収の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、第一号イに掲げる者の財産若しくは第二号イからハまでに掲げる者の土地等(地価税法第二条第一号(定義)に規定する土地等をいう。以下この条において同じ。)若しくは当該財産若しくは当該土地等に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
一 相続税若しくは贈与税に関する調査又は相続税若しくは贈与税の徴収 次に掲げる者
イ 相続税法の規定による相続税又は贈与税の納税義務がある者又は納税義務があると認められる者(以下この号及び次項において「納税義務がある者等」という。)
ロ 相続税法第五十九条(調書の提出)に規定する調書を提出した者又はその調書を提出する義務があると認められる者
ハ 納税義務がある者等に対し、債権若しくは債務を有していたと認められる者又は債権若しくは債務を有すると認められる者
ニ 納税義務がある者等が株主若しくは出資者であつたと認められる法人又は株主若しくは出資者であると認められる法人
ホ 納税義務がある者等に対し、財産を譲渡したと認められる者又は財産を譲渡する義務があると認められる者
ヘ 納税義務がある者等から、財産を譲り受けたと認められる者又は財産を譲り受ける権利があると認められる者
ト 納税義務がある者等の財産を保管したと認められる者又はその財産を保管すると認められる者

二 地価税に関する調査 次に掲げる者
イ 地価税法の規定による地価税の納税義務がある者又は納税義務があると認められる者
ロ イに掲げる者に土地等の譲渡(地価税法第二条第二号に規定する借地権等の設定その他当該土地等の使用又は収益をさせる行為を含む。ロにおいて同じ。)をしたと認められる者若しくはイに掲げる者から土地等の譲渡を受けたと認められる者又はこれらの譲渡の代理若しくは媒介をしたと認められる者
ハ イに掲げる者の有する土地等を管理し、又は管理していたと認められる者
2 国税庁等の当該職員は、納税義務がある者等に係る相続税若しくは贈与税に関する調査又は当該相続税若しくは贈与税の徴収について必要があるときは、公証人の作成した公正証書の原本のうち当該納税義務がある者等に関する部分の閲覧を求め、又はその内容について公証人に質問することができる。
3 分割があつた場合の第一項第二号の規定の適用については、分割法人は同号ロに規定する土地等の譲渡をしたと認められる者に、分割承継法人は同号ロに規定する土地等の譲渡を受けたと認められる者に、それぞれ含まれるものとする。
4 第一項に規定する国税庁等の当該職員のうち、国税局又は税務署の当該職員は、地価税に関する調査にあつては、土地等を有する者の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員(納税地の所轄国税局又は所轄税務署以外の国税局又は税務署の所轄区域内に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有する同項第二号イに掲げる者に対する地価税に関する調査にあつては、当該国税局又は税務署の当該職員を含む。)に限るものとする。

《申告漏れのないようにしましょう》

というわけで、税務署は財産をもらった親族では調べられないようなところまで情報を得ています。
亡くなった人が過去に誰にいくら振り込んでいるのか?
ということが分かるわけですから、なかなかに恐ろしい調査能力です。

「振り込め詐欺」に親が引っかかったかどうかなんて
子供でも把握するのが難しいかもしれないですが、税務署だと分かったりするわけです。

税務署が流れを追いきれないのは
銀行を介しない現金ぐらいなものです。

その現金も銀行に入金すれば追うことができます。
今どき大金を銀行に入れないという人は防犯上あまりないですから、大抵税務署が情報を追えるということになります。

それで大切なのは相続税申告にあたっては慣れている専門家に頼んで、相続財産のチェックリストなどをもとに申告漏れがないか一つ一つ当たることになってきます。

残念ながら
「亡くなった人」と「税務署」だけが知っている財産があると
過少申告加算税になってしまいます。

相続財産についてはチェックリスト等を活用して漏れがないように検討しましょう。

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